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3. 地震,津波を知る
3.1 津波の基礎知識
3.1.1 特性
3.1.2 取り組み
3.1.3 津波の基礎知識を説明しているウェブサイトやページ
3.2 地震の基礎知識
3.2.1 海溝型地震と活断層型地震
3.2.2 津波地震
3.2.3 地震の基礎知識を説明しているウェブサイトやページ
3.3 全国の想定される地震
3.3.1 南海トラフ巨大地震
3.3.2 関東の地震
3.3.3 茨城県沖地震
3.3.4 三陸沖北部地震
3.4 防災動画
本章では,地震や津波に関する知識について記載します。
津波の速さ(m/s)=(9.8×水深(m))^0.5
出典:「静岡県第4次地震被害想定調査(第一次報告)」 (静岡県) 第II編 P.115 (http://www.pref.shizuoka.jp/bousai/4higaisoutei/shiryou.html) (2017/2/25に利用)
H=((h1÷h)^0.25)×H1 H:沿岸の波高,h:沿岸の水深,H1:沖合の波高,h1:沖合の水深
出典:「津波を予測するしくみ」 (気象庁) (http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami/ryoteki.html#takasa_yosoku) (2017/2/25に利用)
速度及び高さと水深の関係をグラフにすると以下のようになります。津波の高さは,沿岸(水深10m)で高さ10mの場合を示しており,水深160mで半分の高さ5mになります。出典:「新たな津波浸水予測図 解説書」 (神奈川県) P.5 (http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/1017806_3355937_misc.pdf#page=5) (2017/2/25に利用)
注)湾奥での津波の高さは湾の形によって異なり、湾の形を大きくV字型、U字型、直線海岸、袋型の4つに大きく分けると、袋型から直線海岸、U字型、V字型の順に次第に高くなる傾向がある。とされています。
出典:「津波防災マニュアル」 (八重山地方防災連絡会) (http://www.jma-net.go.jp/ishigaki/know/tmanual/home.html) (2017/2/25に利用)
引き波で始まるとは限らない。
出典:「津波の発生」 (気象庁) (http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami/generation.html) (2017/2/25に利用)
出典:「津波について」 (気象庁) (http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html#tsunami_2) (2017/2/25に利用)
海岸に押し波が先に来るか、引き波が先に来るかは、海底 がどのように変動したかや、震源域と海岸の位置関係に よって決まります。
出典:「地震がわかる!」 (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/main/pamphlet/wakaru_shiryo2/wakaru_shiryo2.pdf) (2017/3/19に利用)
なお,2011年東北地方太平洋沖地震による津波第一波の気象庁による観測結果は,以下の通りです。出典:「【災害時地震・津波速報】平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」 (P.10) (気象庁) (http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/saigaiji/saigaiji_201101/saigaiji_201101.html) (2017/2/25に利用)
出典:「災害に強い漁業地域づくりガイドライン(平成24年3月)」 (P.80) (水産庁) (http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/bousai/120427.html) (2017/3/5に利用)
また,対岸で反射して戻ってきたりもします。
出典:「【災害時地震・津波速報】平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」 (P.10) (気象庁) (http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/saigaiji/saigaiji_201101/saigaiji_201101.html) (2017/2/25に利用)
出典:「日本で一番大きな津波は何ですか?」 (気象庁) (http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html#tsunami_8) (2017/2/25に利用)
出典:「津波について」 (気象庁) (http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html#tsunami_9) (2017/2/25に利用)
出典:「津波警報とは」 (政府広報オンライン) (http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201410/4.html#anc03) (2017/3/5に利用)
現在の津波予測技術では、「予想される津波の高さ」の予想精度は、1/2〜2倍程度です。
出典:「津波について」 (気象庁) (http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html#tsunami_6) (2017/2/25に利用)
出典:「津波について」 (気象庁) (http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html) (2017/2/25に利用)
出典:[三浦市津波ハザードマップ] (三浦市) (http://www.city.miura.kanagawa.jp/kikikanri/tunami1.html) (2017/2/25に利用)
下記にリンクを記載致しますので,今一度ご確認下さい。
「知識・解説」 (気象庁)
「津波防災のために」 (国土交通省)
「津波を知る」 (tenki.jp)
「津波防災特設サイト」 (内閣府)
特記すべき項目についてのみ記載致します。一般的な内容については,3.2.3項を参照下さい。
日本周辺で発生する地震は,大きく分けると海溝型地震と活断層型地震に分けられます。
海溝型地震は,プレート同士の境界である海溝やトラフ(海溝よりも浅くなだらかな凹地)付近で発生する地震で,津波を発生させます。例としては,2011年東北地方太平洋沖地震,1923年大正関東地震,南海地震,東南海地震,東海地震等があります。
活断層型地震は,プレート内で断層がずれることで発生する地震です。多くは震源が陸地である為津波を伴いませんが,海底の活断層で地震が発生した場合には津波が発生する為注意が必要です。例としては,1995年兵庫県南部地震,2016年熊本地震等があります。
詳しくは,「海溝型地震と活断層型地震」 (J-SHIS 国立研究開発法人 防災科学技術研究所)を参照下さい。
「津波地震」とは、断層が通常よりゆっくりとずれて、人が感じる揺れが小さくても、発生する津波の規模が大きくなるような地震のことである。
と定義されています。プレート境界の地層が柔らかい為,ゆっくりずれるのではないかと言われています。
出典:「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)について」 (P.6) (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/sanriku_boso_4.pdf) (2017/3/4に利用)
揺れが小さいにもかかわらず大きな津波が発生する為,注意が必要です。ゆっくりとした揺れが長く続くことが多いと言われています。日本では1896年明治三陸地震が代表的で,震度4程度の揺れに対して津波遡上高は38.2mと2011年東北地方太平洋沖地震以前では観測上最大の津波でした。
出典:「津波地震」 (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/resource/terms/tm_tsunami_earthquake) (2017/3/4に利用)
出典:「地震がわかる!」 (P.38) (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/main/pamphlet/wakaru_shiryo2/wakaru_shiryo2.pdf) (2017/3/4に利用)
下記にリンクを記載致します。
「地震がわかる!」 (地震調査研究推進本部)
「地震本部 予測研究の最前線」 (地震調査研究推進本部)
「用語集」 (地震調査研究推進本部)
日本周辺で予測されている海溝型地震(津波を伴う地震)の今後30年での発生確率は下図の通りです。これは,政府の地震調査研究推進本部による公式のものです。いかに津波のリスクに囲まれているかが分かると思います。なかでも南海トラフに起因する地震は大規模かつ発生確率が非常に高く,南海地震60%,東南海地震70%,東海地震88%となっています。さらに東日本大震災の教訓からこれらの3地震が連動して発生する可能性も懸念されており,可能性のある最大級という意味で南海トラフ巨大地震と呼ばれています。また関東では,相模トラフに起因するM7クラスの地震が70%です。加えて,茨城県沖M7クラスが90%程度以上,三陸沖北部M7クラスが90%程度とどれも非常に切迫しています。
この「今後30年での発生確率」ですが,阪神・淡路大震災を引き起こした1995年兵庫県南部地震の発生直前の確率を同様に計算すると0.02%〜8%となるそうです。同様に,2011年東北地方太平洋沖地震は10%〜20%です。図に示されている地震の切迫性が分かると思います。
出典:[過去に発生した地震の地震発生直前における確率] (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/evaluation/long_term_evaluation/chokuzen/) (2017/2/25に利用)
出典:[三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)について] (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/01b/kaisetsu010607.pdf) (2017/2/25に利用)
なお南海トラフとは,四国南岸から駿河湾沖に至る約700kmの細長い海盆である。
と定義されています。
出典:[南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)について] (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/nankai_2.pdf#page=4) (2017/2/25に利用)
南海トラフのうち,四国南方〜紀伊半島南端間を震源域とする地震が南海地震,紀伊半島南端〜遠州灘西部間のものが東南海地震,遠州灘東部〜駿河湾間のものが東海地震です。また,南海トラフのうち東海地震の範囲は特に駿河トラフと呼ばれています。下図で東海地震の確率が高いのは,過去の地震発生間隔と比較して長い期間地震が起きていない為です。すなわち,1605年 慶長地震(←間隔102年→)1707年 宝永地震(←間隔147年→)1854年 安政地震(←160年以上起きていない→)現在 となっており,この為,東海地震はいつ発生してもおかしくない
と言われています。
出典:「南海トラフ地震とは」 (気象庁) (https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/nteq.html) (2019/5/1に利用)
出典:「東海地震とは」 (気象庁) (https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/tokaieq.html) (2019/5/1に利用)
出典:「災害に強い漁業地域づくりガイドライン (平成24年3月)」 P.20 (水産庁) (http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/bousai/120427.html) (2017/3/4に利用)
出典:「主な海溝型地震の評価結果」 (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/main/p_hyoka02L.htm#kaiko) (2017/3/4に利用)
それぞれの海溝型地震の概略は,下記参照下さい。
「海溝で起こる地震」 (地震調査研究推進本部)
都道府県ごとの地震活動については,下記参照下さい。お住いの地域で起きる可能性のある地震について知ることが出来ます。
「都道府県ごとの地震活動」 (地震調査研究推進本部)
南海トラフによって引き起こされる津波は,震源域が近いことから到達時間が早く,また高さも非常に大きいことが特徴です。詳しくは下記内閣府報告を参照頂きたいですが,津波到達まで10分未満の地域が多くあり,そのような場合1km沖にいたと仮定すると高台への避難は非常に厳しいと思われます。注)1km進むのに船速7km/hで8分34秒。9km/hでも6分40秒。実際には,向かい風や潮流,津波引き波による減速があるかもしれません。
南海トラフの概要は,下記参照下さい。
下記は,内閣府 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループによる報告です。津波高さと到達時間の予測がされています。
上記の結果を分かりやすくまとめた資料が発行されていましたので,参考に記載致します。上記報告内で検討されている複数のモデルの中から最悪値を抽出したもののようです。
上記の予測では,津波高さ(遡上高ではありません)が30mを超えるなど極めて厳しい値ですが,この予測はあくまでも発生し得る最大クラスの結果です。報告書冒頭でも,南海トラフにおいて次に発生する地震・津波が、今回示される「最大クラスの地震・津波」であるというものではない。
,この地震・津波の発生頻度は極めて低い
,最大クラスの津波の高さや津波到達時間が、実際に避難するに当たって厳しいものであるからといって、避難をはじめから諦めることは、最も避けなければならない。なぜなら、最大クラスの津波に比べて規模が小さい津波が発生する可能性が高いにもかかわらず、避難を諦めることで、助かる命を落としかねない。
と説明されています。
また,過去の南海地震による津波高さの研究結果が下記に示されています。高々過去400年程のデータですのであくまで参考ですが,それでも最低8m〜10mは想定しなければならないことが分かります。
なお,全ての予測について言えることですが,あくまでも予測であり,予測を上回る津波が来る可能性もありますし下回る可能性もあります。また,予測を示した地震以外は起きないと言っているわけでもありません。
関東に影響する津波を伴う代表的な地震には,下記のようなものがあります。
震源域は,下図が分かりやすいと思います。
出典:「海岸保全施設による対策の考え方(素案)」 P.4 (神奈川県) (http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/379194.pdf) (2017/3/4に利用)
相模トラフは,相模湾から日本海溝(房総半島南東沖)に至る海盆です。
相模トラフによって引き起こされる津波も,相模湾岸への到達時間が早く,高さも大きいことが特徴です。詳しくは下記内閣府報告を参照頂きたいですが,相模湾岸では第一波どころか最大津波到達まで10分未満であり,1km沖にいたと仮定すると高台への避難は非常に厳しいと思われます。
相模トラフの概要は下記参照下さい。
下記は,過去(1600年〜現在)に南関東で発生した地震を整理したものです。M8クラスの地震(大正関東地震タイプ)がおよそ200〜400年間隔で発生し,その間にM7クラスの地震が頻発するというパターンです。また,2000年〜3000年間隔でそれらを上回る最大クラスの地震(元禄関東地震タイプ)が発生するとされています。
前回のM8クラスの地震は1923年大正関東地震(M7.9)です。地震本部によると,平均発生間隔180年〜590年に対して2017年現在で93年が経過しており,今後30年以内の発生確率はほぼ0%〜5%です。
前回のM7クラスの地震は1987年千葉県東方沖地震(M6.7)です。地震本部によると,平均発生間隔27.5年に対して2017年現在で29年が経過しており,今後30年以内の発生確率は70%程度です。
出典:「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)について」 (地震調査研究推進本部) (http://www.jishin.go.jp/main/chousa/14apr_sagami/index.htm) (2017/3/4に利用)
下記は,内閣府 首都直下地震モデル検討会による報告です。津波高さと到達時間の予測がされています。なお,首都直下と言っていますが,首都直下(震源が首都圏内)及び相模トラフ沿いの地震について扱っています。
下記は,神奈川県による予測結果です。神奈川県に被害を及ぼす可能性のある津波について,最大津波高さ,最大津波の到達時間,浸水範囲をシミュレーションしたものです。国の検討よりも詳細ですが,示されているのは最大波のみで,第一波はもっと早く到達する可能性がある点に注意が必要です。第一波については,津波高さが最大となる津波についてのみですが,市町村毎の水位の経時変化が解説書P.17〜P.26に記載されていますので,ご参照下さい。
*2017年9月追記:
2017年5月に産業技術総合研究所から相模トラフに関する新たな研究成果が発表されました。これまで2000年〜3000年間隔とされていた元禄関東地震タイプ(相模トラフにおける最大クラスの地震)の過去発生間隔が500年〜2800年だったと考えられる,というものです。元禄関東地震は1703年ですので,2017年現在で314年経過しています。今後この報告が確かだと判断されると,これまでほぼ0%とされていた今後30年での発生確率は上昇し,政府及び地方自治体の被害想定や避難計画は大幅な見直しを余儀なくされる可能性があります。引き続き注視していく必要があります。
日本海溝に起因する地震です。日本海溝は,房総半島南東沖から北海道襟裳岬沖にわたる東北地方太平洋沖地震を引き起こした海溝です。発生間隔が短い為,発生確率は非常に高くなっています。また東北地方太平洋沖地震のように日本海溝の他地域と連動して発生する可能性もあります。概略は次のリンクを参照下さい。
「茨城県沖」 (地震調査研究推進本部)
この地震の津波予測は見当たりませんが,代わりに茨城県の津波予測結果を下記にリンク記載致します。
「茨城沿岸津波浸水想定」 (茨城県)
考えられる最大クラスという意味で東北地方太平洋沖地震再来とH23想定津波(茨城〜房総沖)の2パターンで検討されており,2つの結果を重ね合わせた最悪値をまとめています。浸水想定図には最大遡上高しか記載されていませんが,解説書P.14に津波高さも記載されています。
こちらも日本海溝に起因する地震です。震源域は岩手県北部沖〜青森県東方沖で,発生確率が高いです。概略は次のリンクを参照下さい。
「三陸沖北部」 (地震調査研究推進本部)
津波予測は見当たりませんが,代わりに岩手県と青森県の津波予測結果を下記にリンク記載致します。
「岩手県の津波対策」 (岩手県)
平成15年〜16年にかけて実施された予測で,少し古いです。
「津波浸水想定の設定」 (青森県)
考えられる最大クラスの津波を想定した結果です。「浸水予測図」に津波影響開始時間,第一波到達時間,最大波到達時間が記載されています。「代表地点の津波水位」に津波高さが一覧表になっています。
政府及び地方自治体による防災動画です。ぜひ一度ご覧になって下さい。